甘利氏の当落に注視したエコノミストたち 衆院選で勝った政党の共通項

「お灸」すえるなら反緊縮の政治家に

「政権にお灸をすえれば、減税や給付金など自分たちの思い通りの政策をしてくれる」という意見をたまに目にする。政権が「お灸」で痛撃を食らえば、政治力を失い大胆な政策を打てなくなることくらい、少し考えれば分かるはずだ。

衆院選挙の当選確実が出た候補者の名前にバラの花をつける岸田文雄首相(中央)と自民党幹部ら=10月31日午後、東京・永田町の自民党本部(春名中撮影)
衆院選挙の当選確実が出た候補者の名前にバラの花をつける岸田文雄首相(中央)と自民党幹部ら=10月31日午後、東京・永田町の自民党本部(春名中撮影)

こんな程度の常識が通用しなくなり、そこにワイドショーなどで新しいものへの期待が無責任に煽られると話はさらに深刻になる。

例えば「一回やらせてみよう」と社会現象になって誕生したのが“悪夢の民主党政権“だった。民主党政権の誕生前後で、その経済政策の“ヤバさ”を指摘したのは筆者を含めて数人だった。民主党政権の経済政策をラジオ番組で批判したら「まだ政権が始まったばかりで何を批判するのか!」と炎上したことを思い出す。

いまでは“悪夢の民主党政権”と言えば多くの人たちは納得するが(もちろんしない人も少なくはない)、正直、「なにを今更」と思うこの頃である。いずれにせよ、政策本位の評価ではなく、テレビや新聞での印象に左右され、感情的に判断する世論形成-ワイドショー民-の動きは注意すべき現象だ。

さて、今回の衆議院議員選挙を見てみよう。誇張気味に結果が語られる向きもあるが、どう割り引いて考えても岸田政権の「圧勝」だろう。自民党は単独で絶対安定多数の261に到達した。細野豪志氏ら無所属の保守系を加えるとさらに議席は増す。

事前では単独過半数ぎりぎりの攻防と多くのマスコミが報道し、おそらく自民党もそう信じていただろう。ただし、朝日新聞は自民党の絶対安定多数の可能性を事前に報じていた。これはフェアに言って大したものだ(珍しく褒めたい)。

公明党も前々回には及ばないが32議席と復調した。また与党に「お灸」をすえたのが影響したのか分からないが、維新が公示前の4倍近い議席を獲得した。そして国民民主党、れいわ新選組も議席を増やした。

対して野党統一候補を立てて「政権交代」を訴えた立憲民主党と日本共産党は敗北したと言っていい。小選挙区では野党統一候補は健闘したが、比例では特に立憲民主党が惨敗した。

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