ビジネスの裏側

米国の学会も“大阪の台所”を貸し切り…注目の「UV」効果って? (1/3ページ)

 MICE(マイス)と呼ばれる国際会議・展示や学会の会場に、城郭や寺社仏閣などの歴史的建造物や庭園、商店街などの屋外空間の活用が注目されている。「ユニークベニュー」(UV)と呼ばれる手法で、通常、会場には利用されない場所を使うことで、特別な雰囲気を演出し、地域をPRできることなどから欧米で普及。国内でも訪日客の取り込みにつながるとして、導入の動きが広がる。(田村慶子)

 黒門市場を“ジャック”

 「『大阪グルメナイト』が大好き。これはすごい」「最高のイベントだ」

 まだ肌寒さが残る3月下旬の夜、大阪の台所「黒門市場」(大阪市中央区)が、牛ステーキや魚介類の串焼きなどの食べ歩きを楽しむ約1200人の外国人らで埋め尽くされた。

 外国人らは、大阪で開かれたIEEE(米国電気電子学会)の国際会議に参加した研究者たち。会議後の「レセプション会場」となったのが黒門市場だ。訪日客に人気の黒門市場をUVに活用する試みだ。午後6時までの営業時間が特別に延長され、市場を「貸し切り」にした。普段からにぎわう市場だが、黒門市場商店街振興組合は「過去最大の盛り上がり」と驚く。

 仕掛けたのは大阪観光局。大阪への新たな外国人誘客策として、UVに取り組む。「黒門ナイト」はその手始めだ。

 UV(ユニークベニュー)は「特別な会場」の意味で、パーティー文化が根付く欧州で生まれた考え。イベントを開く学会や企業などが施設に利用料を払う。海外ではMICE誘致における重要なツールと位置づけられている。

 観光局は梅田、難波など大阪市の中心部や大阪府北部の千里地区、南部の堺市など府内を11地区に分け、UVの開発を構想する。「国際学会や会議では、観光の要素が求められているのが世界の潮流。今後の誘致に不可欠」と話す。国際学会は欧米の研究者の参加が多く、MICEでのUV活用で欧米からの集客を図るもくろみもある。

 UVには民間企業も参入の動きをみせる。外国人に人気の京都では、ブライダル業のタカミホールディングスがMICE事業を本格化。京都府内の25カ所の寺社仏閣と連携し、MICEの誘致を始めた。社内で専任のコーディネーターを育てるなどしている。

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