サミットに合わせて来日した韓国の文(ムン)在寅(ジェイン)大統領は27日、大阪市内で在日同胞との晩餐(ばんさん)会を開いた。いわゆる徴用工問題などをめぐって日韓関係は戦後最悪といわれる状況に陥っているが、出席者によると文氏は「韓日は最も重要で最も近くにある国。難しい問題があるが、両国政府が知恵を出し合えば克服できる」と述べた。今回の訪日で日韓会談が開かれないことへの言及はなかったという。
韓国大統領が大阪に複数日滞在するのは約20年ぶりで、文氏が在日同胞と懇談するのは就任後初めて。関係者によると、招待されたのは、在日本大韓民国民団(民団)の幹部や韓国人経済人、有識者ら約400人。民団大阪府本部の呉(オ)龍浩(ヨンホ)団長は終了後に取材に応じ、歓迎のあいさつで、現在の日韓関係悪化が同胞の生活に大きな影響があると指摘したと明かした。文氏は真剣な表情でうなずいていたといい、呉氏は「大統領は具体的問題には触れなかったが、日韓関係に神経を使っていると感じた」と振り返った。
また、出席した大阪市生野区の金光敏さん(47)は「歴史問題だけをもって日韓の交流全体を止めてはならないという意志を感じた」と話した。