社会・その他

海外で火がつき大逆転 「お荷物」だった神戸ブランデー (1/4ページ)

 「神戸ワイン」でおなじみの「神戸ワイナリー」(神戸市西区)に、神戸産ブドウ100%で造られた「神戸ブランデー」があることはあまり知られていない。かつては在庫となり、“お荷物”の存在だったが、3年ほど前からマカオなど海外で評価が急上昇。1万本以上を完売し、11年ぶりに再生産が始まった。売り上げ不振で一時は赤字経営だったワイナリーが追い風で活気を取り戻している。(土屋宏剛)

 ワイナリー冬の時代

 ブランデーは果実酒から製造する蒸留酒の総称で、主に白ワインを蒸留し、樽詰めで熟成させて造る。アルコール度数は40度前後になる。

 神戸ワイナリーを運営する神戸市の外郭団体「神戸みのりの公社」がブランデー造りを始めたのは平成6年。原料のブドウにワイナリーで栽培していた品種のシャルドネを使用し、本場のフランスから本格的な蒸留釜を導入して蒸留技術を持った社員がブランデー造りに取り組んだ。蒸留後はオーク樽に入れ、その後は熟成庫のタンクで保管した。

 しかし、ブランデー造りが順調に進んでいた10年ごろにワイナリーの経営が悪化する。当時はワインブームの真っただなかで、大手酒造メーカーが販売する500円前後の「ワンコインワイン」が売り場を席巻した。

 同公社もワインブームに乗ろうとしたが、神戸産ブドウ100%の神戸ワインは、質より価格を重視する消費者の手に取ってもらえなかった。神戸ワイナリーワイン事業部の大西省三部長(70)は「国産100%のワインより、安い輸入ワインが好まれた。ワイナリーの『冬の時代』だった」と振り返る。

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