自分の仕事に自信が持てなくなったとき、心ある人と出会い、その人の一言に救われ、新たな一歩を踏み出せることがある。多様な経験や深い知見を持っている大人は、自分より若い世代と相対するとき、自身がその年齢だったころを振り返り、年齢を重ねたからこその助言を与えることができる。何気なく発せられた言葉が、大きな気づきにつながることがある。若者たちを思いやり、勇気づけ、力を与える、そんな大人の実例を紹介しよう。
大切なのに目立たない、裏方の仕事
今からお話するのは、ホテルで働く人と客とのエピソードだが、あらかじめ伝えておきたいのは、サービス業には過酷な一面があるということだ。多くの人が楽しいときを過ごす週末、恋人同士が一緒に過ごすクリスマス、家族と迎える年末年始…。こんなときこそ、サービス業にとっては書き入れどきであり、そこで働くスタッフたちは、心情とは裏腹に、いつも顧客を笑顔で迎えなければならない。
ホテルで働くスタッフには、ドアマン(ホテルの玄関に立ち、顧客の出迎えや見送り、タクシーの誘導などを担当する人)やベルボーイ(荷物を客室に運んでくれる人)、フロントスタッフやコンシェルジュ(顧客が求める情報を提供し、地元のレストランや観劇用チケットなどの手配をしてくれ、快適なホテルライフ提供する仕事)、料飲部門のスタッフやソムリエ、シェフなどがいて、多種多様だ。