医師の働き方改革に関する有識者検討会は28日、一部医師の残業時間の上限「年1860時間」を含む報告書をまとめた。4月から一般労働者に適用される働き方改革関連法の上限「年720時間」をはるかに上回り、過労死ラインの2倍の残業を容認する。同法で医師は5年間猶予されており、報告書に沿った改革は平成36(2024)年から運用される。
検討会は29年8月に設置され、22回の会合を重ねてきた。容認された残業上限は、1カ月当たりに換算すると155時間で、いわゆる「過労死ライン」(2~6カ月平均80時間)の2倍。ただ、過労死認定は一般労働者と同様になることを明記した。
報告書では、勤務医一般の残業上限を休日労働を含み、「月100時間未満、年960時間」とした。しかし、労働時間を急激に減らした場合、患者らに多大な影響を及ぼす地域医療を担う勤務医については、「年1860時間」。集中的に技能を身につける必要がある研修医らについても、本人が申し出た場合、年1860時間を認める。
地域医療の勤務医の残業上限は、47(2035)年度までの特例とする。当直などの連続勤務を28時間(研修医は24時間)までとする制限を設けた。
これらの医師に対しては、健康を確保する措置の必要性を強調した。終業から次の勤務の間に9時間の休息(勤務間インターバル)を取ることや、残業月100時間以上の場合は、医師の面接指導を受けなければならない。