下手をすれば「差別」と言われかねないものの、職場でとにかく困るのが「臭う人」(におうひと)への指摘の仕方である。(中川淳一郎)
先天的なものでどうしようもない場合は、周囲がむしろ寛大な心を持ち、我慢する必要もあるかと思う。だが、「香水をつけ過ぎる」「風呂に入っていない」「洗濯をしていない服を着続けている」「ヘビースモーカー過ぎてニオイが体から取れない」についてはなんとか指摘をしたいものである。また、体の問題ではあるものの「口臭がひどい」「ワキガがひどい」も改善は可能なため、同様に指摘をしたいものだ。最近は、本人が気づかないうちにニオイで不快な思いをさせる「スメハラ(スメルハラスメントの略)」という言葉も耳にする機会が多いのだ。
ニオイというものは、人の尊厳にかかわることなので、改善をしてもらうにしてもデリケートな問題を孕んでいる。しかも、当人はそのニオイに気付いていない場合が往々にしてあるのだ。過去に「臭う人」に困った経験を持つ人々から聞いた話や、自分自身が遭遇した件では、以下のようなケースでそれぞれ異なる対応というのが適切なのだろう。
【1】今日だけしか会わないことが分かっている相手
【2】毎日ではないが、定期的に会う相手
【3】毎日顔を突き合わせる相手
【1】については、話は早い。ある時、猛烈なワキガの人と一緒に打ち合わせをした。もう秋になっていたのだが、とにかくニオイがするのである。この場合はとにかく「もうどうせこの人とは会わないんだから」とその1時間を耐えるしかない。
ヘタに指摘をして恨みを買い、渡した名刺を元に非通知設定での無言電話をされたりピザの出前を送り付けられても困るだけである。