先日、ウォール街のアイコン的企業である金融大手ゴールドマン・サックスが、社内のドレスコードを緩めると発表した。
パリッとしたスーツ姿のビジネスマンが印象的なウォール街で、カジュアルな格好の人たちが増えることになるのなら、時代の移り変わりを感じる。もっとも、数十年も前なら、米国人ビジネスマンはみんなスーツ姿にハットをかぶっていたが、そんな文化はもうすっかりなくなっており、ファッションも時代とともに変わるものである。いまだにスーツにハット姿で意気揚々と歩いているのは、日本の財務大臣兼副総理ぐらいのものだろう。
ゴールドマン・サックスのニュースを簡単に振り返ると、3月5日に同社は全社員に対して、ドレスコードを緩和すると通達。「職場におけるカジュアルな環境を求める声が一般的に高まっているという環境の変化」に適応するための措置だと同社幹部が主張していると報じられた。とはいえ、何でも着ていいと言っているわけではなく、「クライアントの期待に反しない服装で」と付け加えている。
実はゴールドマン・サックスに限らず、今、米国では職場での服装が移り変わりつつある。そして、今回のニュースからは、将来のビジネスシーンにおいてどんな服装が「普通」と見なされるようになるのかが見えてくる。日本でも働き方が多様化したことで服装も自由度が高まっているが、米国の動向を中心に見ると、もしかしたら現在の「スーツ」と「Tシャツ」が入れ替わってしまう時代もそう遠くないかもしれないと感じる。
ゴールドマン・サックスの狙いは「働き手の確保」
今回のゴールドマン・サックスの一件では、ドレスコードの緩和の背景に、実は「働き手の確保」があるという。
というのも、今の若者はカジュアルな格好で働ける職場環境を求めているからだ。若者には堅苦しいスーツで出勤するという働き方はあまり好まれない。ゴールドマン・サックスでは職員の8割近くが1981年以降に生まれたミレニアル世代や90年代半ば以降生まれのZ世代で、30代以下。幹部らが彼らにフレキシブルさをアピールしたと見られている。