新在留資格「特定技能」の4月開始を控え、厚生労働省が介護事業者らを対象に全国8カ所で外国人労働者の受け入れに関する説明会を開いている。事業者の関心は高いが「実際に働く姿を見ないと技能レベルが分からない」と様子見の構えが目立つ。新制度の試験には「受け入れのハードルになるのではないか」との懸念も出ている。
「人手不足を補う労働力として外国人を活用する。即戦力だ」
厚労省の担当者は15日、名古屋市の説明会で新制度の意義を強調した。
この日は3回開催され、愛知県内外から約200人が駆け付けた。注目の日本語と技能の試験について、厚労省担当者は「技能実習3年を修了した人は試験を免除されるので、それと同程度のレベルだ」とした。
説明会後の質疑では「ハードルが高い。半年勉強したぐらいでは、とてもじゃないけど合格できない。本当に海外から人材が来るのか」と不安の声も上がった。ある事業者は、海外では看護師免許を取っても病院が少なくて働けない場合が多いと指摘。看護師免許を持つ人材は新制度の試験を免除すべきだと訴えた。
海外で新制度をどうPRするのかとの質問が出たものの、厚労省担当者は「周知の仕方は外務省と法務省が考えている」と述べるにとどめた。
低賃金で重労働というイメージが強い介護現場では離職者も多く、他産業に比べて人手不足はより深刻だ。外国人労働者への期待は大きいものの、実際にどのくらいの人が来日し、即戦力となるかは未知数だ。
「新制度にも関心がある」と話すのは、説明会に参加した三重県桑名市の介護施設の担当者。既に経済連携協定(EPA)に基づいて来たフィリピン人男性が働いており「意欲的で優しいと施設の利用者からの評判も良い」と語る。
だが「試験に合格したとしても、実際にどのくらいできるのかは先に受け入れた他の施設の評判を聞いてみないと分からない」とも述べ、具体的な検討はこれからだ。