露、北方領土を経済特区指定へ 首脳会談直前に日本を揺さぶりか
更新【モスクワ=黒川信雄】イタル・タス通信によると、ロシアで極東開発を統括するトルトネフ副首相は6日、クリール諸島(千島列島と北方領土)南部を経済特区に指定する決定をしたと明らかにした。同諸島南部は北方四島を指しており、日本側の強い反発は必至だ。
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経済特区は税制の優遇措置などを通じ、企業誘致を促進する制度。ロシア側は昨年末、北方領土での共同経済活動に向け日本と交渉入りで合意したことを受け、クリール諸島での特区創設を当面延期する考えを明らかにしていた。ドイツでの20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて日露首脳会談が実施されるのを直前に、日本に揺さぶりをかけてきた可能性もある。
トルトネフ氏は1週間ほどで政府への申請書類が完成すると表明。ロシア企業が現地の水産加工産業に5億ルーブル(約10億円)を投資するとも述べた。トルトネフ氏は3月、共同経済活動をめぐる日露の協議が進展しなければ、ロシア独自で四島開発を推進することも辞さない考えを示していた。
日本は6月末、共同経済活動に向けて長谷川栄一首相補佐官を団長とした官民調査団を北方領土に派遣。国後、択捉、色丹の3島で水産加工場などを視察したほか、北方領土を事実上管轄する露極東サハリン州の知事らとも会談していた。