SankeiBiz for mobile

米国、TPPで車の安全基準「選択制」要求 日本側は強く反発

ニュースカテゴリ:政策・市況の国内

米国、TPPで車の安全基準「選択制」要求 日本側は強く反発

更新

日米の自動車安全基準に関する主な相違点  環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の日米協議で、米国が日本に輸出する自動車の安全基準について、販売台数の少ないメーカーに限って米国基準も選べる「選択制」の採用を要求していることが17日、分かった。ただ、選択制を可能とする販売台数の設定によっては、米国産自動車の全車種が対象となる可能性があり、日本側は強く反発している。

 TPP交渉参加12カ国は19、20日にシンガポールで閣僚会合を開く。日本から参加する甘利明TPP担当相は現地で、米通商代表部(USTR)のフロマン代表と会談し、農産品重要5分野とともに自動車分野が議題になる見込みだ。

 米国が求めているのは、日本での販売が一定台数を下回るメーカーに限り、日米のどちらの安全基準に準拠するかを選択できる制度。米国は韓国との自由貿易協定(FTA)で、前年の販売台数が2万5千台以下のメーカーが安全基準を選べる制度を採用しており、日本にも同様の措置を迫っている格好だ。

 日本自動車輸入組合によると、国内で最も流通している米フォードの平成25年度の新車販売台数は4314台(乗用車)。韓国並みの条件が日本でも採用された場合、米国からの輸入車すべてが安全基準の選択制の対象になるとみられる。

 日米の安全基準は相違点が多い。例えば、車体前面の衝突試験。日米とも前面すべてを衝突させる試験を行うが、道路の狭い日本では対向車との衝突を想定し、前面の一部を衝突させる試験も実施する。認証制度も日本では国が安全認証を行うのに対し、米国はメーカーの責任で認証する。

 このため米国側は「市場参入の障壁」として基準緩和を求めているが、日本側は「関税を撤廃し、市場は開放されている」と反論。政府・与党内には「米国の要求は内政干渉だ」との反発が強く、歩み寄りの姿勢はみられない。

 一方、自動車の安全基準で譲歩することで、「重要農産品の関税交渉で、米国側の譲歩を引き出すことができる」(交渉関係者)との見方もある。

ランキング