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あきれる国民「汚職の殿堂」 ウクライナ、ヤヌコビッチ邸公開
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ウクライナの政権崩壊をめぐる主な動き=2014年2月18日~23日 桁外れの贅沢(ぜいたく)が「腐敗の象徴」なのか。ウクライナ大統領を務め、政変で2月22日に首都キエフを去ったビクトル・ヤヌコビッチ氏(63)が暮らしていたキエフ郊外の邸宅が野党勢力によって公開され、見学に訪れた市民らは想像を超えた大統領の贅沢な暮らしぶりを目の当たりにし、「貧困が蔓延(まんえん)している国で一人の政治家がこんな浪費をしているのは許されない」などと一様に憤慨した。分裂と混乱が続いた過去の親欧米政権に失望した国民は、その後登場した親ロシアのヤヌコビッチ政権の腐敗ぶりにもあきれ果て、政治不信は頂点に達している。
邸宅は22日から公開され、すぐに人気の散策スポットになった。日曜の23日には報道を見た市民が殺到。正門の7キロ手前から渋滞が続き、路肩に駐車して歩き出す子供連れの姿もみられた。フランス通信(AFP)などによると、邸宅の敷地は東京ディズニーランドの3倍近い約140ヘクタールもあり、5階建ての母屋は下部が石造り、上部が木造で、周辺は親水公園となっている。
建物内部には高級家具や絵画が備えられ、カラオケルームや3Dの最新ビデオシアターもある。敷地内にはゴルフ場やテニスコート、サウナ付きの健康センター、射撃場を備えたスポーツクラブなどが点在し、プライベートの動物園ではダチョウやシカなどが飼育されている。
退役軍人のナタリア・ルデンコさんは「ショックを受けた。世界は事実を直視し、ヤヌコビッチを法の裁きにゆだねるべきだ」と話した。敷地を自転車で回るのに5時間かかったという男性は「国民の平均月収は3000グリブナ(約3万5000円)程度だというのに、ここに暮らしていては庶民の生活など理解できない。どれだけの税金と汚職マネーがつぎこまれたのか計り知れない」と憤った。ちなみに大統領の正規の年俸は10万ドル前後(約1025万円)だ。
また、邸内の池では、公邸を去る際に慌てて捨てたとみられる大量の会計文書も見つかった。文書から、複数の黄金のシャンデリアを約3000万ユーロ(約42億円)で購入したり、自身について新聞などがどのように書いているかをチェックするため、2010年にはある会社に6億4000万円相当の額を支払うなど、大統領の異常な金遣いが明らかになった。ヤヌコビッチ氏の賄賂や脱税の金額が詳細に記されたメモも含まれていたという。
邸宅は一応「公邸」ということになっているが、もともとあったわけではない。敷地内にはかつて首相公邸があり、2002年に首相になったヤヌコビッチ氏が住み始め、07年に自身が懇意の関連会社に土地ごと安値で払い下げた。そして10年に大統領に就任すると、この業者に「公邸」として母屋の建設や敷地内の開発を進めさせたものだった。
最高会議(国会)は23日、邸宅のある一帯を再び国有化することを決定。また、内相代行に任命されたアバコフ氏は24日、多くの市民を殺害した容疑で、議会が大統領職を解任したヤヌコビッチ氏と側近を指名手配したと明らかにした。(SANKEI EXPRESS (動画))