金融

損保大手、専門人材獲得を加速 新卒採用コース拡充

 今月から本格化した2022年度入社の新卒採用に向けて、損害保険大手が専門性の高い人材獲得を加速する。入社時にあらかじめ特定した領域の職務に配属する総合職の専門人材枠を拡充し、高度な専門性を発揮できる多様な人材の育成につなげる。

 損害保険ジャパンはアクチュアリー(保険数理士)、IT戦略など3分野設けている「スペシャリストコース」に、コース創設後初めてとなる「法務」「経理・財務」の2分野を追加した。三井住友海上火災保険もこれまでの「スペシャリストコース」を「スペシフィックコース」に名称変更すると同時に、「ビジネスイノベーション」分野を新設。21年度のデータサイエンス関連部署に配属する「テックビジネス」分野に続く追加で、これによりアクチュアリー、自然災害リスク分析関連職など6分野に拡大した。

 損保大手各社は新卒採用にもジョブ型雇用の流れを取り込み、アクチュアリーや金融工学、資産運用など学生が専攻分野を生かせる職務に応募できる専門人材枠を4、5年前から設け、拡充してきた。

 東京海上日動火災保険は「SPECコース」として4分野、あいおいニッセイ同和損害保険も「アクチュアリー・データサイエンス・コース」を設ける。東京海上日動は21年度採用で勤務地限定の総合職「エリアコース」に、大手4社で唯一の専門人材枠を新設した。

 損保ジャパンが22年度採用で追加した2分野はそれぞれ司法試験合格者や法科大学院、大学で法律を専攻しているか、公認会計士、税理士の資格やそれに準ずる知識を備えた学生に応募資格がある。

 三井住友海上のビジネスイノベーションは、起業やNPO設立経験などがある学生を想定。昨年導入した企業側から学生に直接アプローチする「スカウト」型採用も活用する。

 損保大手は専門領域の人材を主に中途採用で補ってきた。しかし、多領域にわたり大きく変化する事業環境を踏まえ、新卒段階から専門性の高い人材に育成する取り組みを強化する。

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