放射性物質事故、5人の尿からプルトニウム検出 理事長陳謝「危険予知能力に問題」
更新日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」(茨城県大洗町)の被曝事故で、作業員5人を治療している放射線医学総合研究所(千葉市)の上部組織、量子科学技術研究開発機構は19日、5人全員の尿から微量のプルトニウムが検出されたことを明らかにした。内部被曝が裏付けられたとして5人を再入院させ、投薬治療を再開した。
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一方、機構は同日、法令に基づき、現時点で判明した事故の状況と対策をまとめた報告書を原子力規制委員会に提出。児玉敏雄理事長は東京都内で記者会見し「機構全体として、危険予知能力に問題があった」と述べ、改めて陳謝した。
原因については「究明はこれから」とした。辞任する考えは「現在はない」としたが、「原因によってはしかるべき責任をとる」と述べた。
量研によると、5人は事故翌日の7日から放医研に入院し血液中の放射性物質の排出を促す薬剤を投与。肺からプルトニウムが検出されなかったため13日に退院したが、その後、全員の尿からプルトニウムとアメリシウムが検出された。
検出値については「個人の特定につながる可能性もある」として公表していない。5人の体調は悪化していないという。今後、尿中のプルトニウム値などから体内被曝の評価を行う。
事故は6日午前に発生。核燃料物質の貯蔵容器を点検中にプルトニウムなどを2重に包んでいたビニールバッグが破裂し、20~50代の5人が被曝した。