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【本気の仕事講座】(3)J3金沢GM、資金集めに奔走

ニュースカテゴリ:企業の経営

【本気の仕事講座】(3)J3金沢GM、資金集めに奔走

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ツエーゲン金沢の代表取締役GM、西川圭史氏(右から2番目)  今回は盟友、西川圭史氏を紹介する。東京大法学部卒、日本政策投資銀行入行。東大在学中はアメリカンフットボール部の主将を務めた。まさに文武両道の象徴だ。その彼が銀行在職中のある休日、夫婦で拙宅まで訪ねてきた。銀行を辞め、「人間力を養成するプログラムを開発したい」というのだ。

 この一言をきっかけに、筆者と彼は2009年、社団法人NS人財創造機構(NSO)を設立。彼は代表理事を務め、大学での各種講義を中心にブランディング、キャリア支援を中心にさまざまな活動を展開している。

 そして、彼にさらなる人生の転機が訪れた。数年前、筆者は金沢市内にある大学で講義を終えた後、地元北国新聞社の常務に呼ばれた。北国新聞社は同市内のサッカーチームを支援していたが、この度、運営組織を株式会社化することに決め、ゼネラルマネジャー(GM)の適任者を探しているとのことだった。その夜、行きつけの居酒屋で西川氏に報告したところ、間髪入れずに「ぜひやりたい!」と意思表明があった。

 彼の信条は「成せば成る、成さねば成らぬ何事も」。社団法人を立ち上げ、各方面に営業をかけ、大学での新機軸な講義プログラムを考案し、そして実演していく。そのプロセスをすべて共有してきた中で彼から感じたものは、「信条の体現といかなるときも本気度100%!」だった。「すごいGMの誕生だ」と2人で杯を交わした。

 彼は11年にツエーゲン金沢のGM代理、12年に取締役GM、本年から代表取締役GMに就任。現在は経営全体を取り仕切り、社員のマネジメント、予算の管理、営業、広報、地域活動などを総括している。

 彼にGM職への姿勢を問うと、「『地域のプロスポーツクラブ=地域の公共財』だと思っています。地域に貢献し、地域の人々に愛されるクラブであることが使命。とにかく動きながら考える。初めから100点を求めない。外に出る。内にこもっていては、世の中の動きや大事な情報が得られないし、新しいアイデアも生まれてこない」との答えが返ってきた。

 世の中全般における本気度についても聞いてみた。「本気の方はたくさんいると感じます。ただ、そういう人の周りに、二重三重に本気にあふれた人がいるかというと、そうではないのかなと思います」

 確信犯的に(笑)、本気度をみなぎらせて取り組んだ事例を聞いてみた。「強いクラブを作るには資金力が必要。資金集め=スポンサー獲得に走り回っています。まだまだこれからのクラブで、スポンサー企業とWin-Winの関係を築くのは難しい状況。しかし、クラブの地域貢献活動や、将来の夢を本気度をみなぎらせて語らないと、新規のスポンサーは獲得できない」と語った。

 ツエーゲンは13年11月のJリーグ理事会にて、14年J3リーグ参加を承認された。新たなステージが開く。西川GMがさらに飛翔する。

                  ◇

【プロフィル】柴田明彦

 しばた・あきひこ 1959年、東京生まれ。慶大法卒。83年に電通入社、新聞局出版・コンテンツ開発部長などを歴任。2006年に退社し、(株)A&Y TRUST 0915 社団法人NS人財創造機構を設立。企業・団体の広報・宣伝、販売に関するコンサルティングなどを行う。

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