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【挑む】マックアース・一ノ本達己社長 スキー場再生、客層把握へ会員制視野
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バブル期のスキーブームが過ぎ去って久しく、全国各地のスキー場が経営不振に陥っている。過疎に悩む山間部の重要な産業とされていただけに、地方活性化のためには一刻も早い再生が不可欠だ。こうした考えの下、スキー場の再生事業を手掛けるマックアースの一ノ本達己社長は「スキー場のある地域は、何百年と人が住んでいて独自の文化を培ってきた。存続させることは、伝統ある地域を守ることにつながる」と意義を強調する。
--家業のホテル業を継いだ後、顧客を教育関係者に特化したようだが
「大学卒業後すぐに入社し、28歳で社長に就任してから、学校に焦点を当てた営業活動に活路を見いだした。当時はまだバブル期で空前のスキーブーム。周りは豪華な施設設備で高単価なビジネスモデルを展開していたが、面積当たりの効率性で考えた。収容人員以上の宿泊客を泊めることはできないが、スキー板のレンタルや、スクールを内製化することにより、そこで得た受講料などを収益源にできるからだ。結果として効率は2倍になった」
--公共施設はすでに、教育関係をターゲットにしているが
「これらの施設では、あらかじめ用意されたプログラムをマニュアル通りにこなすだけだ。しかし、当社は、公共施設との間で大きく差別化を図っている。スタッフが野外教育の資格を取得して指導している点も、一つの事例。引率の先生は野外活動に慣れていないため、引き合いが強い。プログラムは個別に学校側と話し合いを重ねることで、策定している。非常に手間がかかる作業だが、口コミで有名になり信用につながった」
--具体的な成果は
「4月から11月まで学校が毎日のように利用し、宿泊客の9割以上が学校関係になった。今ではスキー不況といわれるが、ピーク時から1割減で横ばいが続いているので、健闘している方だろう」
--経営不振のスキー場の再生も手掛けている
「2007年に滋賀県の国境スキー場が閉鎖されそうになり、周りから経営してほしいといわれ、08年に買い取った。その後、合計で27カ所の運営に関わってきた。その途中でスケールメリットを生かして合理化しなければ、黒字化できないと思った。そこで積極的に手掛け、現在のように多数のスキー場を経営するようになった」
--これからのスキー場をどう変えていくか
「これまでの仕組みを改めたい。スキー場は来場者の客層を集計していない。会員制にして来場客を把握し、顧客ニーズを捉えることもしなければならない。今後さらにスキー場経営の規模を広げていくために、将来は上場することも検討している」(佐竹一秀)
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【プロフィル】一ノ本達己
いちのもと・たつみ 京都産業大学経営学部卒。1990年マックアース入社、95年社長就任。2008年に滋賀県の国境スキー場を買収し、スキー場経営に参入。46歳。兵庫県出身。
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【会社概要】マックアース
▽本社=兵庫県養父市丹戸896-2
▽設立=2008年1月
▽資本金=8500万円
▽従業員数=グループ全体320人
▽事業内容=スノーリゾート事業(27カ所)、旅館業・屋外教育事業(24カ所)、ゴルフ事業(9カ所)、グリーンリゾート事業(14カ所)、キャンプ場(3カ所)など