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ドコモ異例事態…サムスン端末再延期 新たな“お荷物”抱えられぬ事情
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特定メーカーに依存しないスマートフォン(高機能携帯電話)向け基本ソフト(OS)「TIZEN(タイゼン)」の事業化が揺れている。
推進団体「タイゼンアソシエーション」の中核メンバーの1社であるNTTドコモは、16日に予定していた韓国・サムスン電子製のタイゼン搭載スマホの発表を延期。当初の発表予定は昨夏だったが、今年1月に延期していた。2度目の延期という異例事態となっている。
「ドコモはタイゼンをやめるのか」
アプリ(実行ソフト)開発会社からはこんな声も漏れる。だが、ドコモは再延期の理由を公表せず、「発表時期は未定としかいえない」(ドコモ関係者)と言葉を濁している。
「OSのバグ(虫食い)が多かった」「操作性がまだ悪い」などOSと端末の完成度の低さを指摘する声も聞こえてくるが、再延期の裏にはほかの事情もあるようだ。
ドコモの今年度営業利益目標は8400億円だが、ドコモ幹部は「厳しい」とみる。
今年度のスマホ販売計画は1600万台だが、9月に発売した米アップルのスマホ「アイフォーン」の在庫不足が長引いたうえ、アンドロイド搭載スマホの冬春モデルも「軒並み在庫を抱えている」(市場調査会社)。
端末販売計画の未達はそのまま業績を圧迫する。3社横並びとなったアイフォーン販売の競争激化による販売費用の上積みで今年度1100億円のコスト削減計画も焼け石に水となりかねない。
「業績が厳しいなかで新たな“お荷物”は抱えられない」(NTTグループ幹部)ことが、タイゼン事業停滞の要因となったのは否めないようだ。
ドコモがアイフォーン販売に踏み切ったことで「蜜月状態だったアンドロイド搭載端末最大手のサムスン電子との関係に秋風が吹いた」(MM総研)との見方もある。
米調査会社によると、一昨年10~12月に17%あったサムスン電子製スマホの国内シェアは、昨年7~9月に10%を切るなど低下し続けている。これがタイゼン事業に影響を及ぼしている恐れもありそうだ。(芳賀由明)