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日本の自動車産業、命運握る「再編」 飛び交う憶測

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日本の自動車産業、命運握る「再編」 飛び交う憶測

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自動車メーカーの主な提携関係  日産-三菱自、トヨタ-マツダ

 エコカー補助金が9月末で終了し、国内需要の先細りが懸念される自動車業界。2012年の新車販売台数は500万台強と需要が回復したが、来年は80万台程度需要が減る見込み。厳しい状況の中で、ささやかれるのが業界再編だ。

 焦点は、共同開発した軽自動車の販売が始まる日産自動車-三菱自動車、そしてハイブリッド技術の供与やOEM(相手先ブランドによる生産)など提携が進むトヨタ自動車-マツダ。いずれも資本提携に発展するかに注目が集まりそうだ。

 共同開発の軽販売

 「日産が三菱自動車への関与を深め、一気に資本参加することも視野に入れているのではないか」(自動車メーカー幹部)。日産、三菱自をめぐってこうした臆測が業界内に飛び交う。

 両社が共同開発した軽自動車が来年3月に満を持していよいよ発売されるほか、三菱自の益子修社長と日産の志賀俊之・最高執行責任者(COO)が“蜜月”の関係にあることが臆測を生み出す根拠になっている。

 三菱自は今月に入ってエンジンオイル漏れをめぐる不具合についてリコール(回収・無償修理)などの対応が消極的だったと指摘され、国土交通省から口頭で厳重注意され、立ち入り検査を受けた。販売への影響も危惧されることから「年明けにも日産に対し、何かしらの支援を打診するのでは」(外資系自動車メーカー幹部)と見る向きもある。

 また、日産はスズキから軽自動車をOEM調達して関係を築いているが「エコカー補助金で快進撃が続くピーク時に、(スズキから)思うように台数を供給してもらえなかった」(関係者)など恨み節も渦巻く。その分、三菱との軽の共同開発車への期待は大きく「今回ばかりは、軽自動車の台数確保の主導権を取る機会を虎視眈々(たんたん)と狙っている」(業界関係者)とされる。

 日産と三菱自は、軽の共同開発のほかに、三菱自が高級セダン「ディグニティ」と「プラウディア」を日産からOEM調達する間柄でもあり、重複する車種も少ないなどのメリットもある。

 HV技術を供与

 一方、マツダとトヨタ自動車の関係強化にも注目が集まる。マツダは、来年にもトヨタのハイブリッド車(HV)「プリウス」のハイブリッド技術のライセンス供与を受けたHVを発売。11月には、マツダがメキシコに建設中の工場でトヨタの北米向け小型車を生産することでも合意。「資本提携はない」(マツダ広報部)とするものの、関係を一層深めている。

 自動車部品大手の幹部は「立て続けの提携は、エンジン開発に定評があるマツダに、トヨタの中型セダンを作らせる狙いがあるのでは」とみる。

 米フォード・モーターとのつながりが切れたマツダが、環境対応など巨額な開発費を今後も自社で調達し続けるのは厳しいとの見方は根強い。

 外資系自動車メーカーのある日本法人社長は「トヨタが資本参加するにしても、マツダの自由度が維持されるレベルだろう」と占う。(飯田耕司)

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