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月額980円…遅くて安い通信でイオン好調 王者ドコモも大慌て

2012.1.5 05:00更新

月額980円のデータ通信サービスは、仕掛けたイオンも驚く売れ行きが続く=12月29日、東京・東品川のイオン品川シーサイド店

 携帯電話事業者がスマートフォン(高機能携帯電話)の普及でデータ通信サービスの高速化を競うなか、通信速度が“遅いが安い”新サービスの人気が急速に高まっている。流通大手イオンが日本通信と組んで販売する月額980円のデータ通信カード(スマホなどに差し込んで通信するカード)の売れ行きが絶好調。NTTドコモも3月から同様のサービスに乗り出す。家電量販店も参入を検討するなど、速度より低料金を求めるニーズに応えたサービスが新たな市場を生みそうだ。

 予想上回る売れ行き

 イオンが販売するのは、日本通信が開発した「b-mobileSIM(ビーモバイル・シム)」。データ通信専用で昨年6月から月額980円で売り出した。当初は14店舗のテスト販売だったが、「ほとんどの店舗で即日完売」(イオンコーポレート・コミュニケーション部)となり、急ぎ全国展開へ。11月までに265店舗に広げ、月間5000~6000枚のペースで売れているという。

 都内でトップの売り上げがイオン品川シーサイド店(東京・東品川)の携帯電話売り場。新規事業担当の寺田修平さんは「発売初日に用意した50枚は午前中に売れ切れました。初心者向きだと思っていたけれど、ヘビーユーザーが意外に多い。よく使う人こそ料金を気にしているようです」と予想外の反響に驚く。いまも休日は50枚以上売れているという。

 ビーモバイル・シムは、利用できる通信会社を限定する「SIMロック」を解除したスマホや携帯電話に差し込んで通信できる。通信速度は、毎秒100キロビットとドコモの高速データ通信サービス「LTE」(最大37.5メガビット)に比べ375分の1と格段に遅いが、通信料金は大手携帯電話事業者のサービスが月額5000円前後するのに対して、5分の1だ。

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 動画のダウンロードなどには向かないが、メールやネット閲覧には十分利用できる。

 12月10日には月額2270円から音声通話もできるカードを発売した。シャープや富士通東芝、ソニー・エリクソンなど多様なスマホに対応。音声を含めた通信料全体が、従来に比べ月間5000円前後安くなる。「通信会社との既存契約が終了するまで待つ人が多い」(寺田さん)が、徐々に販売を伸ばしそうだ。

 高すぎる携帯料金

 イオンの好調ぶりに慌てたのは日本通信に通信設備を貸し出しているドコモ。最大毎秒128キロビットのデータ通信サービスを月額1380円で今年3月から提供することにした。複数の家電量販店も、イオンに倣って参入を検討しているもようだ。

 このような「低速・低料金プラン」が好調な背景には、高止まりといわれる大手事業者の携帯電話料金プランに対する不満もありそうだ。「寡占状態にある大手携帯電話事業者の料金プランが高すぎるのは、利益率の高さをみれば一目瞭然。イオンの成功をみて、この分野への参入は増える」(外資系証券アナリスト)との見方もある。(芳賀由明)

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