西村康稔経済再生担当相は23日、東京都内で開かれた経団連との意見交換会で、2020年春闘において「外需に不透明感がある中で厳しい面があると思うが、賃上げの継続をお願いしたい」と要請した。会合には経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)ら幹部が出席した。
西村氏は冒頭のあいさつで「6年連続で今世紀に入って最高水準の(春闘での)賃上げが続いてきている。デフレ脱却に向けて継続が必要だ」と強調した。中西氏は「(経団連の委員会での)検討を継続していきたい」と応じたという。
10月の消費税率の引き上げで家計の負担が増す中、政府は個人消費の減退を回避するため、企業に対し賃上げ圧力を強める可能性がある。ただ海外経済の減速で企業の景況感は悪化しており、賃上げの勢いを維持できるかどうかが焦点となりそうだ。
中西氏は会合終了後、記者団の取材に応じ、賃上げについて「経営者が低く抑えた期間が長くあり、それを修正している。政府に要求された(結果)とは思っていない」と説明。基本給を底上げするベースアップ(ベア)に限らない処遇改善の仕組みづくりが必要との考えを改めて示した。
経団連は19年春闘で政府の要請に応じる「官製春闘」からの脱却を打ち出した。安倍晋三首相も経済界に呼び掛ける一方、水準には言及しなかった。