金融庁は、銀行が中小企業の経営者から取っている経営者保証の状況を比較できる共通指標を来夏から導入し、開示を求める。企業が事業承継する際、新旧経営者の双方から保証を取り続ける「二重徴求」のケースもある。銀行に不要な保証を求めないよう促し、保証が負担となって事業承継を断念し、廃業してしまう事態を防ぐ狙い。
対象は大手銀行と地方銀行、第二地方銀行。新規融資分のうち経営者保証を求めなかった割合や、事業承継時の新旧経営者の保証件数などを指標化し、半期ごとに開示させる。
政府は6月に閣議決定した成長戦略で、銀行による経営者保証の状況を指標で「見える化」することを打ち出しており、2019年度の「二重徴求」を含めた保証の状況を明らかにする。
金融庁の調査では、全国の地銀105行のうち、事業承継時に新旧経営者から二重に保証を取っていたケースは、調査を始めた16年度下期は46.2%だった。その後、17年度下期は36.5%。18年度上期は19.3%と減少傾向にある。
銀行側は「経営者への借入金返済の規律付け」として経営者保証を取っており、取引状況や融資判断によっては難しい対応を迫られる。
金融庁は担保や保証に過度に依存せず、事業内容や将来性を見極めて取引するよう銀行を点検する。