海外情勢

フィリピン、現代の工場を誘致 韓国とEV分野で提携機運

 フィリピンと韓国が今年11月までの自由貿易協定(FTA)の交渉妥結を目指す中、フィリピンでは早くも電気自動車(EV)分野で韓国と連携する機運が高まっている。フィリピンの経済紙ビジネスワールドによると、フィリピン貿易産業省の幹部はこのほど、韓国現代グループのEV組立工場を誘致するために働きかけていることを明らかにした。

 フィリピンは資源に乏しいとされる中でもEVバッテリーに必要なニッケルや銅では主要産出国で、フィリピン当局はこれら資源を背景にEV産業への投資を後押しできると見込む。ニッケルはEV電池だけでなく、自動車や建設業界はじめ幅広い分野で使用されているステンレスの製造に欠かせない鉱物でもある。

 フィリピン貿易産業省の幹部、セフェリノ・ロドルフォ氏は、同国がEV生産で東南アジア諸国で後れを取っており、日本企業は既にタイやインドネシアに多額の投資を行っているほか、ベトナムも欧州企業との提携でEV開発を始めていると指摘した。

 その上で「(FTAを契機に)フィリピンは韓国のEV産業やインフラ整備を支援できるほか、EV製造拠点となれる可能性がある。わが国にはニッケルと銅があるだけでなく、電気モーターやバッテリー製造に対して高い関心を持っている」と話す。

 フィリピンと韓国の物品貿易額は2018年に137億ドル(約1兆4972億円)で、韓国はフィリピンにとって第5位の貿易相手国となった。(シンガポール支局)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus