16日の対日直接投資推進会議で決定した地方への投資に向けた「集中強化・促進プログラム」は、外国企業の誘致が遅れる地方への投資拡大を強力に進めていくことが狙いだ。地域経済の活性化は日本経済の実力を示す潜在成長力の底上げに不可欠で、政府を挙げて外国企業の地方誘致へテコ入れを図っていく。
地方での海外からの投資強化は、今年2月の経済財政諮問会議で、安倍晋三首相が「海外の活力を取り込むべくインバウンド(訪日外国人客)観光、農林水産業輸出、対内直接投資を一体的に進めるのは有効な手段だ」と指摘したことを受けたもの。対日直接投資は第2次安倍政権発足以降、着実に増えているが、成長戦略の目標達成に向けては、地方への投資がカギを握る。
政府は昨年5月、地方へ海外からの投資が広がるよう「サポートプログラム」を策定し、これまでに24自治体が支援対象となっている。このうち福島、茨城、福岡の3県と大阪市が平成30年度に「地域への対日直接投資カンファレンス(RBC)」を開催し、外国企業を招待して知事らによるトップセールスや地域企業とのマッチング、関係機関・施設の視察などを行った。
今回決定した「集中強化・促進プログラム」は、さらにこうした取り組みを深掘りする。30年度にRBCを開いた4自治体と今年度開く5自治体・地域を加えた9自治体・地域を「重点自治体」に指定し、「誘致実績を着実に積み上げる」(内閣府幹部)という。
さらにプログラムでは、国全体で多言語音声翻訳システムの普及や外国人留学生の就職率アップなどの目標を期限を区切って達成することも求めており、重点自治体以外にも投資環境を整備できるかが今後の課題となる。(桑原雄尚)