【北京=西見由章】日中両政府は14日、貿易や投資などの経済課題を議論する閣僚級の「ハイレベル経済対話」を北京で開き、日本産牛肉の中国への輸出解禁に必要な「動物衛生検疫協定」について実質合意した。日本側議長を務めた河野太郎外相は「輸出解禁に向けた重要なステップだ」と記者団に語った。
中国は2001年から牛海綿状脳症(BSE)の発生などを理由に日本産牛肉の輸入を禁止。同協定は、輸入再開のためのリスク評価などの手続きを中国側が完結させるのに必要とされ、解禁に向けた動きに弾みがつきそうだ。
また河野氏は、米中貿易協議において米国が改善を求めている外国企業に対する技術移転の強要や知的財産権の侵害、国有企業への産業補助金といった中国側の構造的な問題について「日本側の懸念をしっかりと伝達した」と述べた。
中国では3月、行政職員が外国企業に技術移転を強要することを禁じた「外商投資法」が成立した。同行筋によると、日本側は日本企業に対する運用・執行の実態などについて注視する姿勢を伝えたという。
一方、中国側は日本での第5世代(5G)移動通信システム整備をめぐり、華為技術(ファーウェイ)などの中国企業の製品を排除しないよう要請。中国外務省によると、中国側議長を務めた王毅国務委員兼外相は「公平公正で差別のない経営環境」を整備しなければならないと主張した。
王氏は経済対話の総括として、日中両国が「多国間主義と自由貿易体制をともに擁護」することや、世界貿易機関(WTO)改革をめぐり協調を強めることで一致したと述べた。トランプ米政権の通商圧力を念頭に置いた発言だ。
中国の巨大経済圏構想「一帯一路」についても、日本が「より積極的かつ明確な態度で建設に参画」するよう期待するとした。