【北京=西見由章】日中両政府は14日、貿易や投資などの経済課題を議論する閣僚級の「ハイレベル経済対話」を中国・北京で開いた。日本側議長を務める河野太郎外相は冒頭、「中国はGDP(国内総生産)が世界第2位となり、途上国の域を越えて世界経済を牽引(けんいん)する存在だ。日中両国には多国間の課題や協力について、より大きな貢献を行っていく責務がある」と述べた。
自国を「発展途上国」と規定する中国に対して、知的財産権の保護など経済大国にふさわしい公正な貿易・投資環境の整備を行うよう求めた形だ。
中国側議長の王毅国務委員兼外相は「日中経済協力の広さと深さが絶えず拡大している」と評価。トランプ米政権の通商圧力を念頭に、「多国間貿易体制を支持し、開放型の世界経済を構築しようとする決心」を日本とともに示したいと語った。
経済対話で日本は、中国政府が福島第1原発の事故後に発動した福島や宮城、東京など10都県の食品と飼料を対象とする輸入停止措置の早期解除を要請。中国側は巨大経済圏構想「一帯一路」の枠組みの下での第三国市場協力の推進を日本側に求める。また6月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議に向けて、議長国の日本との間で世界貿易機関(WTO)改革などの議題について意見調整を進めたい考えだ。
ハイレベル経済対話は8年ぶりに東京で開かれた昨年4月以来、2年連続で5回目の開催となる。日本側は河野氏のほか世耕弘成経済産業相、吉川貴盛農林水産相、石井啓一国土交通相、原田義昭環境相、片山さつき規制改革担当相の6閣僚が参加。中国側は王氏のほか鍾山商務相らが出席した。