2月の機械受注統計(季節調整値)で、「船舶・電力を除く民需」の受注額は4カ月ぶりのプラスとなったが、1月の5.4%減を取り戻すほどの勢いはなく、米中貿易摩擦が重しとなった厳しい状況が続く。エコノミストからは、人手不足投資が堅調とみられている非製造業への悪影響を懸念する見方も出ている。
製造業は4カ月ぶりにプラスへ転じたものの、「造船業」の大型案件を除けば弱さは明らかで、米中貿易摩擦を背景にした中国経済の減速による設備投資の慎重姿勢が見てとれる。さらに気がかりなのは、今年に入り2カ月連続のマイナスとなった非製造業だ。昨年は自然災害が発生した月などを除き堅調に推移していたが、8.0%減となった今年1月からの回復は鈍い。
内閣府は、船舶・電力を除く民需の1~3月期の見通しを前期比0.9%減としており、これを達成するためには3月の前月比が11.3%増以上となる必要がある。ただ、3月に設備投資が急増する雰囲気はなく、1~3月期は前期比3.2%減だった昨年10~12月期に続き2期連続のマイナスとなりそうな情勢だ。
農林中金総合研究所の南武志主席研究員は、機械受注の先行きについて「今後の焦点は人手不足感が強い非製造業での投資意欲が維持できるかにかかっている」と分析。「消費税増税を機に消費が再び停滞する可能性もあり、慎重姿勢が一気に強まることもあり得るだろう」とも指摘する。