【ワシントン=塩原永久】米国と中国がワシントンで実施していた閣僚級の貿易協議が5日、3日間の日程を終えて閉幕した。
米ホワイトハウスは声明を出し、協議が進展した一方で「重要な作業が残った」と指摘した。
両国政府は来週以降も、米制裁関税の扱いをはじめとする争点について折衝を続ける。
米政府の声明は「両国が建設的な会合を持ち、数多くの論点で進展した」とした。
協議事項については、知的財産権保護や技術移転強要の廃止といった中国による構造問題への対応や、非関税障壁、農業やサービス分野などの市場開放のほか、合意事項に拘束力を持たせる仕組みを挙げた。
米国は中国からの輸入品に課した追加関税を一部維持すると主張。すべての関税撤廃を求める中国側と対立していた。
米政府は追加関税を据え置き、米企業から中国の合意不履行が米政府に報告された場合、税率を引き上げたり、関税対象の輸入品を増やす「罰則」の手段を確保する狙いがあった。「中国の合意順守を担保する仕組みができない限り、米政府は合意しない方針」(米中交渉筋)とみられる。
トランプ米大統領は4日に中国の劉鶴副首相と会談し、米制裁関税の扱いについて協議した。会談の際にトランプ氏は、中国と合意に達するかどうかは「あと4週間で分かるだろう」と報道陣に語り、当面の協議継続方針を表明した。
追加関税の扱いに関して双方の溝が埋まらず、交渉を決着させるために開く米中首脳会談の日程を固められなかったとみられる。
3月末の北京での協議に続き、今月3~5日に開かれた協議には、米国側から通商代表部(USTR)のライトハイザー代表やムニューシン財務長官が出席していた。