経済産業省が29日発表した2月の鉱工業生産指数速報(平成27年=100、季節調整済み)は102.5となり、前月と比べ1.4%上昇した。上昇は4カ月ぶりで、中国などへの輸出が改善した。1月に3.4%低下した分を補うほどの上昇幅ではなく、基調判断は「生産は足踏みをしている」で据え置いた。
4月5日に内閣府から発表される2月の景気動向指数(速報値)で、景気の現状を示す一致指数は、鉱工業生産指数などの指標を基に算出されており、生産や出荷が上向いたためプラスとなる見通し。この結果、機械的に示される基調判断は見直す条件を満たさなくなり「下方への局面変化」で据え置かれる方向だ。
ただ、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は「3月に各指標がマイナスになれば『悪化』へ下方修正される可能性がある」と分析しており、依然楽観できない状況が続いている。
鉱工業生産指数の業種別では、自動車工業がSUBARU(スバル)の工場の操業再開などで上昇に寄与。生産用機械工業、電気・情報通信機械工業も改善した。自動車を除く輸送機械工業や無機・有機化学工業、電子部品・デバイス工業は低下した。生産の先行きは、3月は1.3%の上昇、4月は1.1%の上昇を予測している。
一方、雇用関連で、厚生労働省が29日発表した2月の有効求人倍率(季節調整値)は1.63倍で、前月と同水準だった。総務省が同日発表した完全失業率(季節調整値)については、前月比0.2ポイント低下の2.3%で、2カ月ぶりの改善。男女別の失業率では、男性が2.5%で横ばい、女性は0.3ポイント低下の2.2%。完全失業者数は前年同月比10万人減の156万人だった。