北本連系線の容量が従来の60万キロワットから1・5倍の90万キロワットに増えたことは、昨年9月に全域停電を経験した北海道にとっては電力の安定供給の向上につながる。国などはさらに容量を上積みできないか検討を進めており、増強する場合は費用負担のあり方が課題となる。
道内全域停電の経験を踏まえ、国は電力広域的運営推進機関に対し、北本連系線の90万キロワットから先の増強の検討を要請。広域機関が昨年12月に設けた有識者会合でルートや増強規模などの議論を進めており、今春をめどに一定の結論を得たいとしている。
27日の有識者会合では、4つの案に絞って費用対効果を確認するとした。海底トンネルを活用して30万キロワットを増強するルートと、新たに海底ケーブルを敷いて60万キロワットを増強するルートを、それぞれ内陸部で送電線新設などの設備工事を行う場合と行わない場合に分けた。これだと容量は120万キロワットまたは150万キロワットに増えることになる。
概算の工事費は、設備工事を行う場合は2345億円程度と3185億円程度で、行わない場合は430億円程度と1935億円程度とした。工期はそれぞれ5~15年かかるという。
今回の増強分の費用は北海道電力が全額負担した。電力の安定供給に加えて太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入を促す効果も期待される中、国などは90万キロワットから先の増強では費用を全国的に負担する枠組みも視野に入れているとみられる。(森田晶宏)