農業研修施設の1期生修了式、営農へ 茨城・石岡市

2年間の研修を終え、茨城県石岡市で就農する小林一さん(左)、木綿さん夫妻=28日午前、同市柴内(海老原由紀撮影)
2年間の研修を終え、茨城県石岡市で就農する小林一さん(左)、木綿さん夫妻=28日午前、同市柴内(海老原由紀撮影)【拡大】

 茨城県石岡市柴内の新規就農者研修施設「朝日里山ファーム」の研修1期生の修了式が28日行われ、2年間の研修を終えた小林一(はじめ)さん(46)、木綿(ゆう)さん(44)夫妻が修了証書を受け取り、営農への決意を新たにした。

 朝日里山ファームは、地域農業の担い手育成のため同市が平成29年5月に開設した。研修生として毎年受け入れる夫婦1組に対し、農薬や化学肥料に頼らない有機農業を指導する。

 一さんは、測量や土地改良などを行う建設コンサルタントからの転身。30代半ばに農業に興味を持ち、大阪府和泉市から家族で石岡市に移住した。4月からは同市小見に借りた約9千平方メートルの農地で野菜の栽培に取り組む。

 この日の式典には施設関係者や2期、3期の研修生らが出席。病気療養中の今泉文彦市長は「石岡市の新たな農業の担い手として活躍を期待している」とのメッセージを寄せた。一さんは、あいさつで涙を見せつつも、「どういうビジョンが描けるのかが見えない中でのスタートだが、知識と人脈を築きながら一歩ずつ進んでいきたい」と意欲を示した。

 式典終了後、一さんは産経新聞の取材に「生産者と消費者の交流に魅力を感じているので、そういう取り組みもやっていきたい」と語った。妻の木綿さんは2人の子供が地元になじめるようサポートしながら研修に臨んだ。「知っている人が1人もいなくて不安しかなかったが、会えばほっとするような人が増えた。人や環境に恵まれて過ごせた」と振り返った。(海老原由紀)