日本取引所グループ(JPX)と東京商品取引所が、経営統合に向けて基本合意し「総合取引所」の実現に踏み出した。世界全体ではデリバティブ(金融派生商品)の取引高が急拡大しているのに対し、日本の低調ぶりは際立っていた。デリバティブ取引の拡大が今後の成長の鍵を握りそうだ。(米沢文)
「これまで信用力が十分でなかったことで躊躇(ちゅうちょ)していた参加者も入ってくる」(東商取の浜田隆道社長)
「株価指数先物と方向感が全く異なる商品先物が上場することによる相乗効果が期待できる」(大阪取引所の山道裕己社長)
28日の記者会見で両トップはこう期待感を示した。
海外では、さまざまな金融商品をワンストップで取引できる総合取引所が主流だ。このうち米国のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループは株式時価総額が6兆円を超える。2017年は40.8億枚の取引高があった。米インターコンチネンタル取引所(ICE)やドイツ取引所も取引高が大きい。
これに対し、JPX傘下の大阪取引所は3.2億枚、東商取は0.2億枚にとどまる。両市場に参加する機関投資家は現状では実質4社にすぎない。それぞれ参加資格を取る必要があり、不便だからだ。