JPXと東商取が統合合意「総合取引所」実現へ 原油は東商取で取引継続
総合取引所の実現について、「勧誘規制」の強化で取引が減少している商品先物業者からは、市場活性化の期待と規制強化への不安の声が聞かれた。
「素晴らしいこと。これまで商品先物は販路が限定的だった」。商品先物を手がける企業幹部は、総合取引所の誕生で投資人口が増えると期待する。株式などを手掛ける証券会社が商品先物も扱うようになれば、証券会社の顧客が商品先物にも興味を持つ可能性があるからだ。
商品先物の取引が株式のように拡大すれば、大口売買による市場の乱高下もある程度吸収でき、投資家が先物市場に参加しやすくなる好循環が生まれる。
ただし「商品先物を望む顧客が多ければ参入を検討するが、『総合取引所になったから参入する』ということはない」と様子見する証券関係者も。統合が商品先物市場の取引拡大につながるかは不透明だ。
商品先物をめぐっては投資経験の乏しい個人が損失を被るといったトラブルが相次ぐなど社会問題化したため、平成23年に原則として電話勧誘が禁じられた。
総合取引所が実現すれば、監督官庁はこれまでの経済産業省や農林水産省だけでなく、日本取引所グループ(JPX)を所管する金融庁も加わる。商品先物関係者は「金融庁の検査は厳しい。コンプライアンス(法令順守)面はもちろん、財務の健全性の監視も強化される可能性がある」と“二重規制”への警戒感をにじませた。(林修太郎)