経済財政諮問会議の民間議員は27日の会議で、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支について、各国に異常が起きていないか監視・協議する場を20カ国・地域(G20)で設けるべきだと提言した。経常収支の極端な動きは経済関係のひずみの強まりを反映している場合があるためで、6月に大阪で開かれるG20首脳会議(サミット)を前に、国際経済の変動に強い経済構造づくりに向けた取り組みを進める。
安倍晋三首相は会議で「国際経済リスクを十分注視しつつ、マクロ経済運営に、より一層万全を期していくことが重要だ」と発言。「民間議員の提言をもとにサミットに向けた準備を進めたい」と語った。
民間議員の提言は、経常収支に関し、国際的な資金の流れにおける異変が不均衡につながったり、各国のマクロ・構造政策の影響が及ぶ場合があると指摘。G20に監視・協議の場を設置することを求めた。また主要国で金利が急変した場合に新興国が資金流出といった悪影響を受けかねないことを念頭に、国際通貨基金(IMF)の資金供給基盤を強化することも求めた。
海外発のリスクが顕在化した際には、財政出動といった「機動的なマクロ経済政策」を「躊躇(ちゅうちょ)なく実行すべきだ」とも訴えた。
また会議では、生産性強化に向けた人材投資についても議論し、民間議員は職務や勤務時間などが無限定な「メンバーシップ型」から職務を限定した「ジョブ型」の雇用形態への転換の道筋を明確にすべきだと強調。就労と一体化したリカレント教育(学び直し)などを提言した。
さらに教育を時代のニーズにあった「複線型」にするため、遠隔教育の活用や、大学生が卒業後も10年間大学の講義を自由に履修できる「大学修業許可書」の導入などを訴えた。