EU、ファーウェイ排除見送り 5G整備で勧告

ブリュッセルのEU本部近くに開所したファーウェイの「欧州サイバーセキュリティー・センター」で、報道陣に業務内容を説明する同社関係者=5日(共同)
ブリュッセルのEU本部近くに開所したファーウェイの「欧州サイバーセキュリティー・センター」で、報道陣に業務内容を説明する同社関係者=5日(共同)【拡大】

 【ベルリン=宮下日出男】欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会は26日、第5世代(5G)移動通信システム整備に向けた勧告を発表した。セキュリティーの確保のため、加盟国の協調した対応を図る内容だが、米国が求める中国通信大手、華為技術(ファーウェイ)の排除を一律に求めることには踏み込まなかった。

 EUでは華為製品使用への警戒も高まっているが、加盟国間には中国への対応に温度差がある。5G整備が遅れて経済競争で不利になるとの懸念が強いことも、華為製品の排除を見送った背景にあるとみられる。

 発表によると、EUは各国がどの製品を使うかを判断するための安全基準や、リスクを低減する具体的方策について年末までに合意することを目指す。加盟国には6月末までに5G整備に伴うリスク評価を要請。EUはその結果を土台に事業者に求める要件や試験、管理のあり方を検討する。

 現時点で一定のメーカーや製品の一律排除はしないが、一連の評価で潜在的にリスクとなる製品や事業者を特定し、各国が独自に排除できる余地は残した。

 勧告は22日のEU首脳会議で要請されていた。サイバー上のセキュリティー対応は各国の判断に委ねられているが、1カ国でも問題が生じれば、ネットワークを通じてEU全体に影響が出る恐れがある。このためEUとしての協調が必要との声が上がっていた。

 ただ、米国は同盟相手の欧州諸国に華為排除を強く働きかけてきただけに、EUの姿勢が反発を招く可能性がある。米国は完全排除を見送ったドイツには華為製品を採用した場合、機密情報の共有を制限するとも警告している。