ウナギの稚魚「シラスウナギ」(愛知県水産試験場提供)【拡大】
出所の不透明さが指摘される香港産ニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」を日本が昨年12月と今年1月に計約6トン輸入し、同じ期間に日本の養殖池に入れられた稚魚の約8割を占めることが日本の貿易統計や関係者の話から25日、明らかになった。
香港にはシラスウナギ漁の実態がほとんどなく、輸出を禁じる台湾などから不法に持ち出された可能性が高いと指摘される。5月下旬からスリランカで開かれるワシントン条約の締約国会議でニホンウナギの国際取引の透明化が議題に上る予定で、日本の輸入に厳しい目が向けられそうだ。
財務省の貿易統計によると、日本は香港から昨年12月に約1.6トン、今年1月には約4.4トンのシラスウナギを輸入。漁業の実態がある中国や台湾からはゼロだった。
一方で水産庁によると、この間に日本の養殖池に入れられたシラスウナギは計6.2トンだった。同時期で見ると極度の不漁だった2018年漁期より多いが、17年漁期の11.3トンと比べ大幅に少ない。
国内の関係者は、日本国内のシラスウナギ漁が低調なことが理由だと説明する。今年1月末までの総漁獲量は1トン余りと昨期を下回り、過去最低となる可能性もある。池入れ量の残り5トン程度は香港産と考えられるという。
香港産の残り約1トンは、輸入と池入れの報告時期にずれがあるため池入れデータに反映されていないとみられる。