【社説で経済を読む】貿易は譲歩しても軍拡は強気の中国 (1/4ページ)

中国全人代に臨む(手前左から)人民政治協商会議の汪洋主席、習近平国家主席、李克強首相=5日、北京の人民大会堂(共同)
中国全人代に臨む(手前左から)人民政治協商会議の汪洋主席、習近平国家主席、李克強首相=5日、北京の人民大会堂(共同)【拡大】

 米国との貿易戦争の行方に注目が集まる中、中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が5日、北京で始まった。(産経新聞客員論説委員・五十嵐徹)

 李克強首相は政府活動報告で、2019年の実質GDP(国内総生産)成長率目標を「6~6.5%」にすると表明し、18年目標の「6.5%前後」から引き下げた。

 18年は結果的に目標を若干上回る6.6%を達成したが、これでも中国では28年ぶりの低水準だった。中国経済は、明らかにかつての勢いを失いつつある。6日付の各紙社説は、いずれも全人代の李氏報告を取り上げ、経済が減速する中で中国は米国との貿易摩擦にどう対処しようとしているのか、その点に焦点を当てて分析を加えている。

 首脳会談へ環境整備

 毎日社説は「全人代後には習近平国家主席が訪米し、トランプ米大統領と米中貿易摩擦の解消に向けた合意を目指すとみられている。そのための環境整備の狙いも色濃い」との見方を示した。

 中国は今年、建国70周年を迎える。この節目の年に成長の鈍化を印象付ける数字を発表せざるをえないのは皮肉だが、国際ルールを時に利用しつつ、都合が悪い時は平然と無視するのが中国だ。その独善的な経済運営には、日本や欧州諸国からも厳しい目が向けられている。

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