1月の景気動向指数、基調判断を下方修正 数カ月前に景気後退入りか

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 内閣府が7日発表した平成31年1月の景気動向指数(速報値、27年=100)は、景気の現状を示す一致指数が前月比2・7ポイント低下の97・9で、3カ月連続の悪化となった。中国経済の減速の影響が大きく、一致指数の動きから機械的に求める基調判断は「足踏みを示している」から、数カ月前に景気後退入りした可能性が高いことを表す「下方への局面変化を示している」に下方修正した。

 同様の表現は26年11月以来、4年2カ月ぶり。景気の転換点に関する正式な判断は、有識者でつくる「景気動向指数研究会」が候補時点の1年~1年半後頃に12カ月平均のデータなどを分析し、それに基づいて内閣府が決める。24年12月から続く現在の景気拡大局面は今年1月に74カ月となり、戦後最長の「いざなみ景気」(14年2月~20年2月、73カ月)を抜いたとみられていたが、研究会の判断次第では短縮される可能性が出てきた。

 内閣府によると、一致指数を構成する9指標のうち、輸送機械を除く投資財出荷指数や鉱工業の生産指数など速報段階に入手できる7指標全てがマイナスに寄与した。有効求人倍率と小売業の商業販売額を除く5指標で中国経済の減速の影響を受けているという。

 個別分野では、蒸気タービン、シャベル系掘削機械の出荷や半導体、リチウムイオン電池の生産で前月の反動減があったほか、産業用ロボットの輸出も減少。SUBARU(スバル)の工場の操業停止により自動車の生産や出荷も減った。暖冬の影響で冬物衣料の販売が減ったことも響いた。

 内閣府の担当者は、景気判断に関し「中国の春節(旧正月)休みの前倒しや、平日扱いの1月4日が実際には休業日だった影響にも留意する必要がある」としている。