景気悪化なら追加緩和 日銀・原田審議委員

記者会見する日銀の原田泰審議委員(左)=6日午後、甲府市(田邉裕晶撮影)
記者会見する日銀の原田泰審議委員(左)=6日午後、甲府市(田邉裕晶撮影)【拡大】

 日本銀行の原田泰(ゆたか)審議委員は6日、甲府市で記者会見し、米中貿易摩擦や中国経済の減速などで「景気が悪化し、物価上昇が望めないのであれば必要な政策手段を取る」と述べ、追加の金融緩和をためらうべきではないとの認識を示した。

 原田氏は日銀の大規模な金融緩和策により日本経済は回復を続けてきたと説明し、今後の懸念材料は海外にあると指摘する。この日の同市内での講演では、「中国の輸入数量が今後さらに低下すれば、日本の生産と輸出の先行きも懸念される」と警戒感を示した。

 ただ、景況感は慎重に見極める構えだ。会見では海外発の下方リスクが「高まっていることは事実」としつつも、足元で日本の景気が後退期に入ったとの指摘には賛同しなかった。

 日銀内では追加緩和に消極的な声も少なくない。だが、原田氏は景気悪化時に追加緩和を講じる必要性については「意見の不一致はない」と指摘した。

 一方、金融機関が利ざや(貸出金利と預金金利の差)減少を理由に、緩和縮小を求めていることについては、「普通の商店なら売れないものは仕入れない」と述べ、預金量を減らすなど利益を出す工夫をすべきだと指摘した。