米議会に債務上限の引き上げ要請 財務長官、年金基金など凍結で資金繰り

ムニューシン米財務長官(ロイター)
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 【ワシントン=塩原永久】ムニューシン米財務長官は4日、連邦政府の借入限度額を定めた債務上限を「議会が早急に引き上げるよう要請する」との書簡を議会に送付した。債務上限の適用は議会の取り決めで凍結されていたが、今月2日に凍結期間が切れて復活していた。財務省は資金繰りを確保するため、公務員年金基金などに関連した支出を停止する特例措置の実施を議会に通告した。 

 議会は昨年2月、歳出拡大に伴い、上限適用を今年3月1日まで一時凍結すると決定。翌2日から直近の債務額である約22兆ドル(約2460兆円)が新たな債務上限と定められていた。

 議会が上限を引き上げなければ米政府が新たな借り入れができなくなり、国債の償還や利払いが滞るデフォルト(債務不履行)のリスクが高まる。財務省はすでに地方政府向け特別国債の発行停止などの対応策を実施。9月ごろまでは資金繰りできる見込みだが、議会の協議が難航すれば市場が混乱する恐れもある。

 書簡によると、財務省は追加的な対応策として「公務員退職障害基金」向けの投資を6月5日まで停止。別の公的基金への支出停止も予定しているという。