金融庁は1日、仮想通貨に関する研究会を開き、仮想通貨技術を使った資金調達(ICO)について、中国や韓国のように全面禁止するのではなく、法改正で規制を強化して健全化を目指すことでおおむね一致した。ICOをめぐっては法規制が不十分で、詐欺に使われる問題などが指摘されているが、ベンチャー企業を中心に新たな資金調達手段として活用されている実態に配慮した。
ICOは企業が独自の仮想通貨を発行し、投資家から法定通貨やビットコインなど広く流通している仮想通貨を調達する行為。投資家は発行企業のサービスが安価に利用できたり、配当が受け取れたりするなどのメリットがある。
金融庁によると2017年に世界のICOによる資金調達総額は約55億ドル(約6200億円)で、18年は7月末時点で143億ドルにまで拡大。
ただ、規制が追いついていない状況を悪用し、事業の予定がないにもかかわらず資金を募るなど詐欺が疑われるケースも多発。中国や韓国などはICOを全面的に禁止したほか、他の国でも規制強化の動きが目立っているという。
研究会では出席委員からも「世界のICOの8割が詐欺といった指摘もある」など否定的な意見が多かったが、新たな資金調達手段として国際的に使われている実情や、ベンチャー企業の育成、イノベーションの芽を伸ばすといった観点から全面禁止は見送る方向で一致した。
研究会では今後、規制の詳細な枠組みを議論する予定で、資金調達額や投資額に上限を設けることや、企業の事業計画など投資判断に不可欠な情報の公表ルール、インサイダー取引の規制、ICOを第三者が評価する仕組みの導入などを検討する。