消費税増税時に実施される2%のポイント還元制度で注目されるキャッシュレス決済=1日、茨城県つくば市のスーパー【拡大】
政府が来年10月の消費税増税時の景気対策で実施するキャッシュレス決済時のポイント還元策に、課題が降り掛かっている。対象となる中小事業者の範囲を決める線引きが難しく、クレジットカード会社などのシステム対応に時間がかかると見込まれるためだ。増税まで1年を切った現場に困惑が広がり、円滑な導入を危ぶむ声も出始めた。
還元策は、消費者が中小小売店、飲食店などでクレジットカードやICカードなどで決済すると国の支援で通常のポイントに上乗せされ、増税分2%が付く仕組み。中小零細店の販売低迷を防ぎ、キャッシュレス対応も促す「一石二鳥」の施策が売りで、政府は「中小」の定義を関係法令に沿って資本金などで決める見通しだ。
ただ、大手のインターネット通販サイトに交じって出品する中小事業者の扱いは不透明だ。またコンビニエンスストア・外食大手には直営店と、個人経営の多いフランチャイズチェーン(FC)加盟店がある。FC店を2%還元の対象とし、直営店は除外する案もあるが、混乱を招きかねない。
費用対効果も疑問視される。ポイントのための国の補助は数千億円から1兆円超に上る可能性もある半面、全国商店街振興組合連合会の幹部は「2%では消費者のインセンティブ(動機づけ)にならない」と批判。そもそもカード会社に払う手数料が高く、中小店は決済システム導入に耐えられないとも訴える。
政府は、制度に加わるカード各社に手数料率の上限を示して抑制を求める構えだが、収益を削られるカード業界では「ビジネスへの介入だ」と不満が渦巻く。中小店での利用に限ってポイント還元率を上げるにはカード会社側のシステム改修を迫られ、ある関係者は「増税までに作業が間に合わない会社が出てくる可能性もある」と話す。