今世紀中にドイツの人口逆転 フランス、産む国へ100年の執念 (1/4ページ)


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  • 今年5月、ベルリンで保育所増設を求める親たちのデモ(クリスチャン・マーカルト氏撮影)
  • 今年5月、ベルリンで行われた親たちのデモで「保育所なしに、生活なし」と書かれた看板を掲げる参加者(クリスチャン・マーカルト氏撮影)
  • ベルリン人口開発研究所のディネル研究員(三井美奈撮影)

 欧州の福祉大国フランスとドイツが、少子化対策で明暗が分かれている。フランスは2016年、合計特殊出生率(女性が一生に生む子供の数の平均)が1.92で、5年連続で欧州連合(EU)の首位を維持する一方、ドイツは1.60で追い上げに奮闘中。現在の人口は欧州最大だが、国連推計では今世紀中にフランスに抜かれる見込みだ。両国の違いは何なのか。(三井美奈)

 育休なし、働く母

 仏北部シャルトルに住む弁護士ペリーヌ・シャボシュさん(37)は、4~11歳の男児3人のシングルマザー。3年前に離婚した。

 「保育所や学校の送迎はいつも大変。でも、子供たちの笑顔を見ると疲れも吹き飛ぶ」と話す。みんな産後2カ月半で保育所やベビーシッターに預け、育児休業なしに職場復帰した。

 次男を出産後、時間のやりくりがつかず、弁護士事務所の上司に「うちは所帯が小さいから困る」と退職を促された。中堅事務所に移った今も夕食後、シッターに子供を任せて出社し、残業することもしばしば。それでもやってこられたのは手厚い支援のおかげだ。

 月900ユーロ(約12万円)のシッター費の半分は補助金が出る。育児手当は3人で月299ユーロ(約4万円)。年収約4万2千ユーロ(約550万円)で所得税は870ユーロ(約11万円)だから、たっぷりおつりがくる。

 子供最優先

 フランスの合計特殊出生率は1993年に1.66に落ち、2006年に2.00に戻った。経済協力開発機構(OECD、13年)統計で国内総生産(GDP)に占める家族給付支出は3.65%。北欧と並んで先進国トップクラスで、日本(1.49%)の倍以上だ。

育児支援は予算の「聖域」