印農園技術で生産性向上へ 予算削減のフィリピン、農民離脱懸念

 フィリピンは、コメ自給率を現状の93%から95%に高めることを目標としている。しかし、ドゥテルテ大統領が農業関連予算を37%削減したことで、ピニョル農相は「予算削減によって、ますます農民が田畑から離れていく」と懸念する。こうしたなか、農務省は農業技術向上で現状を打開しようと、インド・ウッタルプラデシュ州から農園経営技術での協力を求める方針だ。現地経済紙ビジネス・ワールドが報じた。

 ラビーニャ農務次官(農業経営・市場担当)によると、ウッタルプラデシュ州政府の農業専門代表団が今年8月にフィリピンの農村を視察した。その後、インドの農業技術導入に向けてワーキンググループの立ち上げを計画している。

 ラビーニャ次官は「一番のポイントは生産性の向上だ」と指摘する。

 このため、ウッタルプラデシュ州が生育研究の場として、同州にある「国際稲研究所」(IRRI)の農地5ヘクタールをフィリピンの農業研究者らに寄贈し、技術ノウハウの習得に活用されている。

 国際稲研究所は、1960年にフィリピン政府および米国のフォード、ロックフェラー両財団の支援で設立され、フィリピンとの関わりが深い。国際稲研究所への土地寄贈で、ウッタルプラデシュ州のフィリピンとの関係も、より良好となっているもようだ。(シンガポール支局)