政府税制調査会(首相の諮問機関)は17日開いた総会で、仮想通貨に関する納税作業の簡素化に向けた制度整備の検討を始めた。課税対象となる仮想通貨の利益は売却益以外にも種類が多く、算出方法も複雑なため、納税者が確定申告を怠る原因になっている。税調は煩雑さを和らげることで納税を促したい考えで、今後、少人数の専門家会合を設け、詳細に議論を進める方針を明らかにした。
仮想通貨の売却などで得た利益は雑所得にあたり、一般的な会社員の場合、その年の1~12月に仮想通貨で20万円超の利益を得れば確定申告し、所得税を納めなければならない。
ただ、仮想通貨は取得価格と売却価格との差で得た売却益だけでなく、ほかの仮想通貨と交換し換金して得た利益にも課税されるほか、含み益のある仮想通貨で商品を購入した場合も課税対象となる。
さらに、得た利益の計算に必要な取引履歴データの保存方式は仮想通貨の交換業者ごとに異なり、利益の記録対象などが統一されていない。納税者は正確に全ての利益をつかむことが難しく、適正な納税申告の妨げとなっている。