【ムンバイ=森浩】中国が主導する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の第3回年次総会が25日、インド西部ムンバイで開幕した。金立群総裁は実施されたセミナーで、「2年半で急速な進歩を遂げている」と話し、順調な成長ぶりを強調した。
AIIBの発表によると、6月1日までにインドやフィリピン、エジプトなどで25件の融資を承認しており、融資総額は計約43億ドル(約4700億円)。これ以外に現在、20件が審査中だとしている。加盟する国と地域は、当初の57から、5月にパプアニューギニアとケニアを加えて86に拡大した。
ただ、承認済み案件のうち半数以上が、世界銀行や日米が主導するアジア開発銀行(ADB)などとの協調融資だ。他機関の融資に「相乗り」しているとも指摘され、案件を発掘する能力に課題が残る状況は続く。また、金総裁は「融資した案件を進める段階で、(地元の抵抗など)困難な状況にも直面している。有効な施策を用意すべきだ」とも話し、各国政府にさらなる協力を求めた。
AIIBは新興国のインフラ整備を資金面で支援するため、中国が主導して2015年12月に発足した国際金融機関。中国の影響を懸念した日米は参加を見送っている。アレクサンダー副総裁は24日の会見で、AIIBは現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」から「独立した国際機関である」と繰り返し強調。日米など幅広い国の参加を呼びかけた。