【論風】高まる米中貿易摩擦への懸念 食料問題への影響は不可避 (2/3ページ)

※画像はイメージです(Getty Images)
※画像はイメージです(Getty Images)【拡大】

 世界は、既に食料危機状態に突入している。各地でテロや暴動などさまざまな問題が生じているが、その多くの原因は貧困と食料不足。ひたすら増加する世界人口は、現在では70億人強となり、今後100億人にまで増加するといわれている。

 一方で、世界中の英知や資本を結集しても、農産物の増産ペースは微増にとどまる。

 天候異常、病害虫の発生、水不足、労働力不足、労働者の搾取、混乱する世界情勢の中で農業生産はますます複雑化し、特効薬は見当たらない。

 世界中で、食料や富の偏在が進み、食料難に苦しむ人の数は増える一方だ。このため、食料は安定した貿易ルールの中で、世界で共有していかなければならない。こうした中で、貿易摩擦が食料と富の偏在を一段と進めることは、時代への逆行も甚だしい。

 保護貿易は、とりわけ食料分野においては、原則はあってはならない。机上の空論でいえば、食料が供給不足なら、供給量を増やすことにはビジネスチャンスがあり、農業生産は拡大するはずだ。しかし農業生産は、そのように理屈通りにはいかない。

 農作物輸出に注力している日本の農業にとっても、貿易摩擦という新たな問題は、また悩みの種となる。長期的安定的販売が見込まれなければ、農業生産は継続できない。

続きを読む

注目ビズ!

PRESIDENT OnlinePRESIDENT Online
「昭和には根拠のない希望があった」居酒屋店主が見てきた新橋サラリーマンの“ある変化”とは
イノベーションが切り拓く日本の未来イノベーションが切り拓く日本の未来
IT見本市シーテック開幕 脱炭素やデジタル技術披露

一覧

連載・コラム

ビジネストラブル撃退道ビジネストラブル撃退道
【ビジネストラブル撃退道】発表前の新車をTwitterで公開…広告代理店・若手社員の“大失態”に…
鉄道業界インサイド鉄道業界インサイド
【鉄道業界インサイド】コロナ禍で相次ぐ鉄道運賃改定…値上げか値下げか 私鉄各社のしたたかな戦略【…

一覧