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世界は、既に食料危機状態に突入している。各地でテロや暴動などさまざまな問題が生じているが、その多くの原因は貧困と食料不足。ひたすら増加する世界人口は、現在では70億人強となり、今後100億人にまで増加するといわれている。
一方で、世界中の英知や資本を結集しても、農産物の増産ペースは微増にとどまる。
天候異常、病害虫の発生、水不足、労働力不足、労働者の搾取、混乱する世界情勢の中で農業生産はますます複雑化し、特効薬は見当たらない。
世界中で、食料や富の偏在が進み、食料難に苦しむ人の数は増える一方だ。このため、食料は安定した貿易ルールの中で、世界で共有していかなければならない。こうした中で、貿易摩擦が食料と富の偏在を一段と進めることは、時代への逆行も甚だしい。
保護貿易は、とりわけ食料分野においては、原則はあってはならない。机上の空論でいえば、食料が供給不足なら、供給量を増やすことにはビジネスチャンスがあり、農業生産は拡大するはずだ。しかし農業生産は、そのように理屈通りにはいかない。
農作物輸出に注力している日本の農業にとっても、貿易摩擦という新たな問題は、また悩みの種となる。長期的安定的販売が見込まれなければ、農業生産は継続できない。