第6回日中韓ビジネス・サミットで挨拶する安倍晋三首相(奥左)=9日午後、東京都千代田区大手町の経団連会館(斎藤良雄撮影)【拡大】
経団連など日中韓の経済界は9日、3カ国の経済界首脳が一堂に会するビジネスサミットを東京都内で開き、経済協力に向け意見交換した。日中韓の自由貿易協定(FTA)などの早期実現や第三国でのインフラ整備、技術革新分野での協力推進の提言で合意し、共同声明を来賓の3カ国の首脳に手渡した。
声明ではFTAの早期実現と知財保護なども含めた高度なレベルの両立を求めた。5月に経団連会長に就く日立製作所の中西宏明会長は「課題はあるが、(首脳会談で)FTA早期実現が盛り込まれたことは大きい」と評価した。
共同声明には日中韓の共通課題の高齢化社会に向け医療やサービスの協力や環境問題解決、技術革新分野の協力、そのための人材交流の重要性も盛り込まれた。同日の議論では人工知能(AI)やビッグデータなどの技術革新は一企業や一国の取り組みでは限界があるとの認識で一致した。
三井物産の飯島彰己会長はアジアのインフラ整備の重要性を指摘し「膨大な需要があり、競争ではなく、連携や協力が結果的に成長の取り込みにつながる」と強調した。
日中両国は、中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を巡り官民一体の協議会設置を決めたが、経済界は「歓迎だが、経済合理性や収益性が重要」とケース・バイ・ケースで取り組む姿勢だ。
規制が少ない中国では、小型無人機やスマホ決済など新技術が先行し、経済界には日本の後追いを懸念する声もある。お互いにどう利益を得られるかがカギになる。