【道標】劇的減少、シラスウナギの漁獲量 末期的状況、消費者は保全の声を (1/2ページ)

中央大の海部健三准教授
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 養殖に用いるニホンウナギの稚魚、シラスウナギの漁獲量が劇的に減少している。

 ウナギは、牛や豚、あるいはコイのように、飼育下で子供を産ませ、増やすことはできない。このためウナギの養殖では、天然の稚魚を捕獲して育てており、持続可能な利用を実現し、資源を守ることが急務だ。

 ニホンウナギは国際自然保護連合によって絶滅危惧種に区分されているが、その個体数の多さから考えれば、持続的な利用は決して不可能ではない。

 そのためには、利用速度、つまり「食べる速度」が、「ウナギが子供を産み、育つ速度(再生産速度)」よりも低く抑えられている必要がある。しかし現在、ニホンウナギの利用速度は、再生産速度を上回っている。ウナギを保全し、持続的に利用するためには、再生産速度を増大させ、利用速度を低減させなければならない。

 再生産速度の増大は、河川や沿岸域などウナギが生息する環境の回復を通じて実現できる。せきやダムなどによる遡上(そじょう)の阻害を解消し、生息可能な水域面積を拡大することの重要性が、既に環境省と水産庁の調査で明らかにされている。それにもかかわらず、実際には、ウナギの増殖に効果があるとして「石倉カゴ」という器具を設置するなど、科学的根拠に乏しく、優先順位の低い対策が行われている。

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