ADB総会、あすマニラで開幕 欧米政策の域内影響などを協議

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 67カ国・地域が加盟するアジア開発銀行(ADB)の年次総会が、フィリピンの首都マニラで3日に開幕する。6日まで。米国の保護主義的な通商政策や米欧の金融引き締めがアジア経済に与える影響のほか、インフラ投資など域内の成長策を議論する。4日には、日中韓とASEAN(東南アジア諸国連合)の財務相・中央銀行総裁会議も開いて、金融協力を話し合う。

 会合には、日本から麻生太郎財務相と黒田東彦日銀総裁が出席する予定。日中韓とASEANの財務相らによる会議では、アジア域内の経済情勢や金融協力が主要な議題になる見通し。

 ADBの最新の経済見通しでは、日豪など一部先進国を除くアジア域内の実質経済成長率は2018年で6.0%と、高い伸びを予想。ADBは域内経済のリスクとして、トランプ米政権の保護主義的な通商政策と中国などの報復の動きを指摘しており、会議でもリスクを点検する見通しだ。

 一方、アジア太平洋地域で今後もインフラ需要の拡大が見込まれることから、2国間や多国間での協調融資の積極化も確認する。

 ADB総会の関連会合では、ASEAN加盟国で洪水などの自然災害が発生した場合に復旧資金を迅速に支払う新しい枠組みの創設も公表する。名称は「東南アジア災害リスク保険ファシリティ」で、まずカンボジアとラオス、ミャンマーが参加する。域内各国が保険金を拠出するほか、再保険も活用する。19年中の運用開始を目指している。

 ■ADB年次総会などの主な議題

 ・米国の保護主義的な貿易政策や米欧の金融引き締めなどがアジア域内経済に与える影響など

 ・金融危機時のアジア域内での金融協力などを確認

 ・洪水などの災害発生時に再保険市場にリスクを移転する枠組みの創設

 ・質の高いインフラ投資を進めるための方策を議論