【高論卓説】安保大改革、安定政権に期待 北緊迫、他国頼みの防衛がリスク (1/3ページ)

 10月の総選挙直前の本コラムで予想した通り、安倍晋三首相率いる自民党が圧勝した。ただ、そこでも言及したが、もろ手を挙げて安倍政権を称賛しているわけではない。他党が政権を担うよりは明らかに良いし、歴代政権に比しても非常に巧妙に経済・外交政策の手綱さばきをしているのは確かだが、まだ改革のスピードが遅いからだ。

 こう書くと、力強い経済成長に向けた規制緩和系の話と思われがちだが、やはり安定多数を得た安倍政権には、本来実現したかったことと思われる憲法改正や安全保障面での大改革を特に期待したい。

 改めて書くまでもなく北朝鮮情勢がかなり切迫している。政策担当者の常として、責任を持って国民の生命・財産を守るためには、最悪の状況の想定が必要だが、普通に考えても、近い将来(1年以内?)、北朝鮮は、米国を射程に収める大陸間弾道弾ミサイル(ICBM)と、核の小型化・弾頭化技術を手にする。後者は既に保有しているという分析も有力だ。

 米国としては、北朝鮮に下手に干渉すると、本土の安寧が脅かされるわけで、北朝鮮の核保有を認める代わりに、ミサイル技術の放棄のみを要求する可能性もある。核を持った北朝鮮が東アジアで暴れようとも、米国本土に届かないのであれば、とりあえずは安全だ。現に米国内では「戦略的忍耐」という無責任政策を取っていたオバマ氏周辺などから、既にそういう議論も出ている。

最も危険にさらされるのは日本